医療介護職のための腰痛予防は…
●人材を守ります!
医療介護職の腰痛は労働災害であり、その予防は労働安全衛生にほかなりません。
腰痛の無い労働環境は、離職率の低下、生産性の向上に直結します。
●医療介護の質を上げます!
目指すのは、医療介護職と患者および利用者双方にとって負担の少ない「質の高いケア」です。
腰痛予防から、理想とする医療介護の提供を実現していきませんか。
普段は熊本市内の介護老人福祉施設に勤務しながら、CareLink熊本という事業名でも活動しております理学療法士の高瀬直人と申します。3年ほど前からノーリフティングケアに取り組んでおり、その中で統括マネージャーを努めております。活動の目的としましては、持ち上げない・抱え上げない・引きずらない介護による職員の腰痛予防対策やご利用者さまの残存機能を活かした自立支援や重度化予防ケアの促進、福祉機器を活用した業務の効率化などを掲げ、双方にとって安心・安全な施設を目指し、日々のケアに於いて経験を積み重ねて参りました。
このような活動を通じ、職員の介助負担軽減や仕事のやりがい創出、拘縮や褥瘡などの健康被害に対し一定の予防効果を得ています。
また令和3年度介護報酬改定においても、介護職員等特定処遇改善加算の職場環境等要件の中に「腰痛を含む心身の健康管理」が含まれており、リフト活用などによる腰痛対策の実施が組織全体の取り組みとして求められています。
このような報酬全体の流れも踏まえまして、これまでの活動で得た知識や経験を基に、ノーリフティングケアを必要とされるご施設さまや医療機関等に対しまして、より一層貢献したいという想いで、ご案内を差し上げております。
つきましては、ノーリフティングケアによる抱え上げない介護や福祉機器活用による業務効率化などにご興味・ご関心、また貴施設の課題等がおありでしたら、是非お話をお聞かせ頂き、導入研修サポートなどご提案の機会を賜ることが出来ましたら幸いです。
2023年2月
ノーリフティングとは?
ノーリフティングは、単に持ち上げない・抱え上げない介護技術ではなく、医療・福祉の現場から腰痛をなくす取り組みそのものを示す言葉です。
医療・福祉の現場で、身体的に負担のあるケアや作業を見直し、安全に働ける職場を作る取り組みがノーリフティングです。腰痛予防を実践するためには、リフト等による福祉用具ケアも必要ですが、そのような介護技術やテクニックは腰痛をなくす、低減策の1つに過ぎません。リスクマネジメントを組織全体で実践することが大切です。
またノーリフティングケアとは、介護する側・される側双方において、安全で安心な「Liftingしない(No Lifting)」、つまり、抱え上げない・持ち上げない・引きずらない、そして不良姿勢を継続させないケアの事を指します。ノーリフティングケアは、福祉用具を使う事が目的ではありませんが、安全で安心な介護・看護を提供するには、身体の間違った使い方をなくし、対象者の状態に合わせて福祉用具を有効に活用して取り組む事も必要です。
ノーリフティングの目的は?
ノーリフティングは、労働安全衛生の取り組みであり、安全で働きやすい職場を作る事が目的です。誰もが安心して働ける職場作りが大切で、その安心して働ける職場にこそ、対象者が安心してケアを受ける環境が整います。
安全に働ける職場にするには、労働安全衛生水準を向上させる必要があります。抱え上げや持ち上げなど身体に負担のある業務を見直し、ノーリフティングケアを実践すると共に、リスクマネジメントを実践する職場風土を目指します。
ノーリフティングケア導入のメリット
団塊世代が75歳以上になり、人口の約20%が後期高齢者になると言われている2025年問題。人材不足が慢性化している介護業界にとって、さらに厳しさが増す深刻な問題です。
介護職に人が定着しない理由としてもっとも多いのは心身的負担です。人手不足による長時間労働や過労、抱え上げによる腰痛、利用者との人間関係精神的負担・・・。
それらの問題解決の一助になるのが、介護者にも利用者にも優しい「ノーリフティングケア」なのです。
労働安全としてノーリフティングケアでは何に取り組めば良いのでしょうか…?
安全な職場作りを実践するためには、リスクマネジメントを実践する職場風土を目指します。リスクマネジメントを実践する為には、リスクの種となる職員からのヒヤリ・ハットを集める事、そしてそれを解決するPDCAサイクルを回す体制を作る事が必要です。
これは個人が気を付けて行えばいいというレベルのものではなく、組織として取り組むべき課題です。職員全員でヒヤリ・ハットを抽出し、この段階で解決する事で予防の取り組みとなります。その為のPDCAサイクルが効果的に動いている組織が、労働安全衛生水準が高いといえます。
医療介護分野における「生産性」をこう考えます
(全国老人福祉施設協議会ホームページより一部抜粋)
民間企業の経営分析に用いられてきた「生産性」という考え方を、医療介護の分野にそのまま適用することは適当ではないと考えられます。
「生産性」とは、いわば「生産の効率性」ともいうことができますので、従業員の人数を減らしたり、従業員の労働密度をあげて労働負担を強めることでもあげることができます。しかし医療介護分野においては、ただでさえ従業員の確保が困難な中で人数を減らすことなどありえないですし、従業員の労働負担を強めれば労働環境が悪化し、人材確保が一層困難になってしまいます。よって、医療介護分野における「生産性の向上」は、人減らしではなくむしろ労働負担(実労働時間や業務強度)の軽減を実現するものであることが大前提となります。
また、「生産性」は、実労働時間あたりの生産を増やすことであげることができますが、医療介護分野にとっての生産の指標は、民間企業における付加価値額のようなものではなく、「医療介護サービスの質」であるべきと考えられます。
さらにいうと、「生産性」は、生産のための費用を削減することでもあげることができますが、取り組みによって、ムダな費用の削減などによる経営の改善を図ることも期待できます(ただし従業員の給与や介護サービスの質の向上のための費用はむしろアップさせる必要があります)。このようなムダな費用の削減によって介護事業の経営も安定化します。
以上のような意味で、
医療介護分野における「生産性の向上」とは、
①労働負担(実労働時間や業務強度)の軽減と、
②医療介護サービスの質の向上を前提とし、
③経営の改善を期待できる業務の効率化
であると考えることができます。
そしてこの3つのことを実現するということは、
●従業員(労働負担面)
●患者・利用者(医療介護サービスの質の面)
●経営者(財務・経営面)
にとっての3方よしのメリットということになります。
福祉用具活用によるノーリフティングケア
※要素スキル
①姿勢管理の必要性と身体の使い方 ②寝返り/起き上がり ③グローブを利用した除圧・移動 ④シートを利用した移動
⑤立ち上がり・ボード移乗 ⑥座り直し ⑦ポジショニングの基礎 ⑧シーティングの基礎 ⑨リフト